2024年1月28日開催
2024年1月28日(日)、立川近郊にて「つき貫ける合気」研究会が開催された。ちなみに「つき貫ける」とは技の特性を端的にあらわした代表師範の造語である。今回の研究会で取り上げられた技は、天地投げ、下段腕がらみ、一ヵ条の三種であった。
天地投げを通してまず説明されたのは、段階を経て稽古をしていく事の大切さであった。
どのような事かというと、まずは相手との間にある球体を使って掛けていく方法を稽古し、それが出来るようになったら相手の前足膝へ落としていく掛け方をやる。そしてそれが出来たら相手の中心部へ直接力を流していく掛け方を稽古していくといった感じである。
だから、もしもいきなり最後のやり方を研究しようとしても、それを理解し実現するのは難しいのである。これは代表師範が自分で今までやってきた稽古を振り返って言える事実であるとの事だった。
今回は両手持ち天地投げを例に挙げ、先述の段階を踏んだやり方を研究していったのだが、同時に、両手を出した時に相手が素直に両手を取ってくるという状況は果たしてあるのだろうかとの疑問も投げかけられた。
合気道家全般の話、両手持ち天地投げは現実的ではないのに何故やるのかという問いに対し、合気上げや合気下げの養成のためにやるという答えが返って来る事は良くある。
しかし、合気上げや合気下げといった技術はパフォーマンスとしては人気があるが、技に於いては必要ではない技能だというのが代表師範の見解であり、聞いていて非常に興味深かった。皆がやっているからそれが正しい。他の考え方は間違っているという固定観念に捉われては、技の柔軟な上達を妨げてしまうはずだ。常に様々な可能性を考えて色々試しながら稽古をしていくべきだと思った。
次に研究したのは下段腕がらみであった。正面打ち下段腕がらみを用いた説明の中で印象的だったのは、相手の崩し方についての話であった。それは相手の力の流れをそのまま利用し、相手が前へ出てくるように誘導していくというものであった。
このように言うと「何を今さら」と思われるかもしれないが、果たして誰もが本当にその通りに出来ているだろうか?技を掛ける中で回転動作を良く使ううちに、相手を振り回す事によって崩そうとするようになってしまってはいまいか。そのように気づかされ、崩しの本来のあり方について見つめ直す機会になった。
そしてもう一点、小手先の動きではなく身体全体で相手を誘導していくためにはどうするべきなのか、そのヒントの一端について気づけた事が収穫だった。相手が感じる抵抗感と小手先による誘導は関連性が強いと感じた。
最後は一ヵ条の研究であった。題材は正面打ち一ヵ条、相手が正面打ちを打った手を引いた所に掛ける一ヵ条の他、天地投げの時間にやらなかった正面打ち天地投げについても説明を受け、参加者が稽古する技を自由に選択して研究を進めていった。
ちなみに最近、本部道場では拳で突くいわゆる「突き」を使わないようになってきている。突きを使いたければ使っても良いので、敢えて周知はしていない。ただ、突きは入力の力を使っており、掌底で打つ「打ち」は出力の力を使うものである。入力の力は相手に感じ取られやすく抵抗感を与えてしまいやすい。代表師範が技に於いて使いたいのは後者の出力の力であるので、拳による打撃は無くす方向にしたという事であった。
代表師範自身の稽古は未だ発展途上であり、気づきとアップデートを頻繁に繰り返している。日常の中にも合気道に通じる気づきは度々あるそうだ。そうした変化をタイムリーに感じ取れるのも定期的な研究会等に参加する意義ではないだろうか。
今回の研究会で教えてもらった事は当然ながら、30分程度研究をしたからといってすぐに出来るような内容ではない。今後の稽古へフィードバックし、時間をかけて研究を深めていく事が大切との事だったので、自分の稽古の中で様々な可能性を試しつつ、繰り返し研究を進めていこうと思った。
<合気道S.A. 広報部>
コメントをお書きください