· 

実戦合気道 広域指導者認定合宿レポート

令和4年11月26~27日実施


令和4年11月26日・27日の2日間、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“広域指導資格認定合宿”が開催された。

 

今回の合宿のテーマは“一塊として動く”である。“一塊”とは“固”でありまた“個”でもあるという。1つの“塊”で動く事によりタメの無い・また相手に動きを読まれる事の無い素早い動きが可能となるのである。そうはいっても人間であるのであるから、どうしても動き出しの段階でタメを作ったり反動を利用したりしてしまいがちなのは仕方のない事である。しかし合気道S.A.ではそれを良しとしない。櫻井代表師範の体捌きを一例としてみると分かり易い。単純なスピードとしての速い動きではないが“捕らえた”と思った瞬間に“するっ”と居なくなるのである。本当に頭では理解出来ない動きであり、単純なスピード云々の問題ではない。これらの秘密は“誘い・引きつけ”にプラスして身体を“一塊”として動かす!という事にあるようだ。今回の合宿でこの秘密の一端に少しでも届けば!との思いを込めての合宿開始となった。また今回は初参加となる方も居た為、その辺りも考慮し理解し易く丁寧な合宿となったのである。

まずは“構え・基本動作・体捌き”からである。S.A.においてはこれらを大変重要視しており、当然合宿においてもシッカリと時間を取る内容である。代表師範による指導・解説の後、各自グループに分かれ、お互いに客観的な目で指摘・確認し合う時間となる。私自身合宿には複数回参加しているが、この客観的な目での指摘・確認作業は本当に勉強になる時間である。当然、前合宿での気づきや修正点を稽古に反映させて自分の動きを修正して来るのであるが、一つを直すとまた別の問題がというように本当に難しく気の遠くなるような作業の繰り返しである。代表師範ご自身でさえまだまだご自身の動きに満足をされておらず、日々更なる上を目指しての努力の段階にあるとの事であるから、本当に果てしない道であるのは当然の事である。薄皮を一枚一枚積み重ねていくような繊細な作業であり、その作業の上に代表師範の技は成り立っており、また常日頃から“更に上を…更に良いものを…”を追い求め常に変化・進歩しているというのは正しく合気道S.A.が“進化する合気道”といわれる所以であろう。このような精密な基本動作の先に我々が目指す技としての代表師範の技が存在し、具体的な指針・目標、またそこまでの最短最適ルートを示唆していただけるというのは求道者として何と幸せな事であろうかと考えるのである。

体捌きまで一通り終わり、次は技へと入る。今回の合宿ではまず基本技、その後に受けが抵抗している状態での技と二段階で稽古が行われたが、今回のように相手が抵抗している場合、やはり技に入る事への難しさを再認識させられた。基本技であるので正面突きや片手持ち等から始まるのだが、抵抗されている場合ではまず技は入る前提としての崩しでさえ困難である。お互い稽古を積み重ねており技もよく知っている者同士である事も更にそれに拍車を掛けるのだ。参加者同士で頭を悩ませながら色々と取り組んでいたのであるが、代表師範からのアドバイスとして“小手先を忘れる・何処から力を発生させるのかを考える・一塊としての動き”がやはり大切であるという。またこれは全てに通じる事であるが、“力を相手の腰や膝へ通さなければならない”という事だ。代表師範の技を受けてみると本当に不思議な感覚であるが“手や腕の力を感じる事無く、それなのに腰や膝に力を通されて崩されてしまう”のである。如何に抵抗しようとしていようとまるでそれらを無意味にされてしまうのだ。代表師範曰く“相手に自分の力を感じさせなければ抵抗される事は無い。相手に抵抗させる理由を与えなければいいのだ。その秘密はやはり基本動作にある。単純に基本動作を基本動作として行うだけではなく、実際の技の中での動きを意識して行う事に意味がある”との事である。合気道S.A.ではご存知のように組手や試合を稽古に導入しており、その中にはルールは存在するが“忖度”は存在しない。お互いに全力で相手を倒しにまた極めに行き、それに対して全力で抵抗して反撃しようとするのである。代表師範の技はそれらの経験を踏まえた上で、如何にすれば真剣勝負の中において技を掛ける事が出来るのか、実際に使える技にするにはどうすれば良いのかという事を試行錯誤した中で変化し辿り着いたものであるとの事である。このようにかなり濃密な時間を過ごしつつ、初日は基本技の1ヵ条〜4ヵ条までを終了したのであった。

さて合宿2日目と入り、初日の内容の確認・復習を行った後、基本技の残り、肘締め〜小手返しまでである。また合宿のテーマである“一塊としての動き”に付随して、今回は“受けの取り方”についても代表師範から指導があった。“合気道は掛けだけでなく受けも重要であり、受けを取る事が上達への近道だ。”とはよく耳にする言葉であるが、代表師範によると“只、漠然と受けを取るだけではそのような効果は期待出来ない。受けも身体を一塊として掛けの力の動き・流れを感じ取りながら受けを取る事に意味がある”との事だ。今回はそのような受けの取り方についての指導があったのだ。私自身、今まで掛けの力の動きや流れを感じ取りながら受けを取っていたつもりではあったが、まだまだ理解が不十分であり、今回の指導内容はある意味“攻撃的な受け”とでもいうものであった。その後もついつい今までの感じで普通に受けを取ってしまい代表師範から厳しい指摘を受ける事となってしまったが、受けについての理解を深める事が出来たのであった。このように基本技について2日目は“掛け・受け”共にかなり頭を悩ませながらの稽古となったのであった。

今回の合宿は今までの合宿とは一味違った感じであったのも含めて、本当に時間が経つのが速かったというのが正直な感想である。代表師範の“指導内容を少し変えた”との言葉通り、学びと新鮮な驚きが多かった2日間であった。もちろん合宿内容としても大変充実したものであり、今後の稽古の指針・目標が新たに定まったのを感じられたのであった。

 

このように合宿・講習会等においては新たな気づきや驚きが目白押しである。合気道S.A.門下生のみならず他武道・他流派の方々にも大きな刺激を与える事であろう。現状に疑問や悩みを持たれている方は少し勇気を出して参加されてみては如何だろうか??

きっと目から鱗の体験が出来る事であろう。

<合気道S.A. 広報部>