令和3年9月25・26日開催
令和3年9月25・26日の2日間、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“剣術・杖術・短刀術 広域指導者資格認定合宿”が開催された。今回の合宿はコロナの影響で昨年度は開催出来なかった為、今年度2回目の開催となる。初参加者を含め各地指導員と多様なメンバーとなった。
今回は参加者の要望も考慮し通常武器術合宿では行わない基本動作からのスタートとなり、その後、“構え・礼・基本打ち・相対・武器取り”につき基本に立ち返り正確な動作を詳細に確認していく中身の濃い合宿となったのである。
通常、本部道場においては武器術の時間は準備体操から始まり、基本動作・基本打ち・武器取り・相対と多様な内容となっているのではあるが、それ故に中々細かな点についての指導は時間的にも難しいというのが現実であり、その為、正しい動き・更に高度な稽古を追求する方々には武器術合宿が最適な場となるのである。
常日頃から熱心に稽古に励み正しい動きを心がけ、更に色々と試行錯誤を繰り返している方々にとっては武器術合宿が正しくその“答え合わせの場”となり得るからである。
まずは短刀術である。代表師範による説明・諸注意を受け、その後少人数でグループを作りその中でお互いの動きを相互チェックし合うという非常に勉強にはなるが“冷や汗をかく事になる”形からの合宿開始である。
自分では正しいと思っている動きではあるが、客観的な第三者の目によるチェックが入ると自分の認識との相違を大きく痛感させられる事となる。私の場合、具体的には“振りかぶりの小ささ・突きの時の短刀の角度”等々である。以前より代表師範から注意を受けている点ではあり本人的にはかなり修正しているつもりではあったが、どうしても徐々に“小さく楽な形”になってしまったり、突きに力を乗せようとするあまり握りに力が入り過ぎ、結果として短刀の角度が上がってしまうようである。自分では出来ているつもりでありまた中々気がつき難い点につき、代表師範や他の参加者からの厳しい指摘がいただけるというのは大変ありがたい事である。また自分でも他の参加者の動きを見る事により客観的な“正しい見る目”を養えるので非常に勉強になる稽古でもあるのだ。
基本打ちまでの確認が一通り終了すると今度は相対である。本来は実際にお互いの攻撃の当たる位置での“誘い・見切り”等々についても稽古も重点的に行うのであるが、本日については“正しい形”での相対がシッカリと出来ているかというテーマに重点を置き稽古を行った。このように杓子定規の稽古ではなく、何に重点を置いた稽古を行うかという事も参加者の要望・稽古の進捗状況等々により臨機応変に決定されていくのである。
さて実際に相対に入ってみると…先程まで色々と修正・改善を行った動きではあるが、相手がいる状況となるとどうしても焦りや緊張が出てしまい、ついついどうしても悪いクセが顔を出してくるものなのである。
勿論、代表師範も「クセや間違いをこの合宿で修正・改善を行ったからといって直ちに正しい動きになるかといえば決してそんな簡単な事ではない。大切なのはそういう意識を持ち“単に良い汗をかく稽古ではなく、色々と考え試行錯誤をしながらの頭に汗をかく稽古“というものが必要であり、そういった稽古の積み重ねが後々に重要になり大きな意味を持つようになるのだ。」と仰っている。
次は杖術である。代表師範による説明・諸注意を受け、また少人数でのグループに分かれての相互チェックに入る。杖術においても様々な注意点が存在し、また代表師範による厳しく的確な指導もあり、各自自身の問題点・課題についての理解を深めたのであった。
杖術については特に“手の内”についてが重要であり、手の中で杖を自由に“遊ばせる感覚で操作”する事が重要であるという。この事は特に“逆打ち”について顕著に現れ、参加者はそれぞれ代表師範から受けた注意点やアドバイスを念頭に動きの修正・改善に熱心に励んでいたが中々思うようにはならず、私を含め皆苦労していたように感じた。
今度は相対へと入る。先程同様基本打ちでの注意点を踏まえ実際の動きの中で正しい動きが出来ているかどうかの確認である。当然の如く、相対においては“正確な打ち込み・距離・誘い・見切り”等々の重要ポイントが存在し、各自本当に正しく“頭に汗をかきつつ”動きの確認を行ったのであった。今回は相対における“掛け・受け”双方の足捌きについても細かく行った。普段の稽古では“何となく”漠然と動いてしまっていたが、再度正しい動きを確認すると予想以上に自己流になってしまっている事実が判明し、驚かされると同時に武器術合宿の重要性を再認識させられる事となったのであった。
最後は剣術である。これも短刀術・杖術同様に代表師範による説明・諸注意を受け、少人数でのグループに分かれての相互チェックに入った。剣術においても同様様々な自己流のクセや理解を間違っているポイントが見つかり、各自思い思いに他の参加者や代表師範に意見を求めたり相談したりしながら修正・改善を行ったのである。
普段の稽古から色々と意識して稽古を行って来たつもりではあったが、どうしても気がつかない内に自分なりの解釈が入ったり、身体運用のクセが出たりしてしまうようである。しかしながら、こういった機会にシッカリと代表師範による“答え合わせ”が出来、これからの稽古への取り組む課題がハッキリと自覚出来るというのは本当に幸せな事であると感じた次第である。
初日はこのように“礼“から始まり、”構え・基本打ち・相対”についてシッカリと中身の濃い稽古となった。翌日は初日の確認と復習、そして武器取りの総確認とこれまた中身の濃い稽古であった事をここに報告しておく。シッカリと“頭に汗をかく”稽古となったのであった。
このように武器術合宿とは普段出来ないような中身の濃い稽古が出来、また自己の動きを代表師範に“答え合わせ”していただけるという稀有な機会である。今回の合宿中には武器術と体術についての関連性やこれからの武器術への取り組み方といったような具体的な内容についても、代表師範の実体験に基づく貴重な様々なお話を伺う事が出来た。これからの稽古に向けての明確な指針と具体的な目標が見えて来たという事は本当に喜ばしい事である。
稽古や自己の動きについて等々、少しでも悩みを抱えていらっしゃる方々は…合気道S.A.はS.A.門下生のみならず他流派・他武道問わず広く門戸を解放しているので、もし宜しければこういった機会に参加されてみては如何だろうか!新たな気づきが得られる事の出来るかもしれない数少ない場である。
是非とも、皆さんの積極的な参加を願うものである。
<合気道S.A. 広報部>