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オ-プント-ナメント実戦合気道選手権大会

令和3年3月20日開催


総評

令和3320日、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催によるオープントーナメント実戦合気道選手権大会が開催された。

左から 桜井圭四郎選手 櫻井文夫代表師範 寺島徹選手

 合気道S.A.による他流派・他武道にも門戸を広く開放しているオープントーナメントは有名ではあるが、こういった合気道の中では異端な?(と思われている)試合や組手といった面が強調されてしまい、従来の基本動作・型稽古を軽視しているのではないか??との誤解を受けてしまっている点は否定出来ない。

 

以前、YouTubeで某流派のトップに位置される先生が試合なんかをやって勝った負けたと一喜一憂している場合じゃないんですよ。もっと深く原理原則を追求していかなければならないんだから。”といったような事を仰っているのを拝見した事があったが、他の流派の先生方も同様の考えをお持ちなのであろうか??

合気道S.A.は決して基本動作・型稽古を軽視している訳ではなく、それを重視した上で更にプラスして試合や組手を行なっているだけである。合気道S.A.の試合においては、演武のように華麗に技が決まり人間が宙を舞うといった事や、手を触れずに気を繋げて相手を投げ飛ばす!といった事が見られる事はまず無いのが現実である。

 

実際に組手を行なった事がある方々には理解していただけると考えるが、お互いが全力で戦った場合、どうしても力んで力比べになってしまったり膠着してしまったりと合気道の技のイメージからすると全く別世界の現実が存在するのである。更に現在のオープントーナメントでは“合気道技の実践”を謳い、その目的の為に打撃技等について制限を加えているので余計に派手なKOシーンも見られる事は無い。しかし櫻井代表師範の提唱する合気道技の実践・武道としての原点回帰の為には必要不可欠なものであったのである。

勿論、に対して華麗に宙を舞う演武のような掛けと受けの共演に憧れていたり、所謂達人といわれる先生方の摩訶不思議な技に憧れている方々も相当数いらっしゃるというのも純然たる事実であるので、その事については否定する気は毛頭ないが

 

合気道S.A.の技は、長年の試合・組手といった戦いの経験によって、如何にすれば実際に技を掛ける事が出来るのか、抵抗している相手に対して如何に技を通すのか??といった命題に対しての櫻井代表師範による回答である。古参の先輩が仰っていたが代表師範の技は実戦からのフィードバックによってドンドンと進化している。昔の技であればまだ抵抗の余地があったかもしれないが、現在の技には抵抗する事が全く出来ないとの言である。正にこれが代表師範の狙いであり、どうしても実戦の場で無ければ到達する事の出来ない領域なのであろう。

 

勿論いやそんな事は無い。試合や組手は合気道には必要が無い。それが無くても技は磨けるのだから!”と仰る方々を否定はしないし、通用するかどうかを試してみたいと仰るのであれば、合気道S.A.のオープントーナメントに是非とも積極的に参加していただければ良いと考える次第である。

寺島徹選手(左) 桜井圭四郎選手(右)

さて、前置きが長くなってしまったが今回のオープントーナメントにおいては数々の波乱が起きた。

 

まず軽・中量級部門…過去数々の入賞・優勝経験を誇る山本鏡明選手(合気道S.A.八王子)が桜井圭四郎選手(合気道S.A.東大和)との決勝戦において指を負傷してしまい、そのまま桜井選手が初優勝を飾った。参戦し始めてまだ日が浅い桜井選手ではあるが近年黙々と力をつけてきており、今回の初優勝でまた更なる飛躍が期待出来る事であろう。

 

無差別級においては多彩な技を誇り技師の異名を持つ木村圭吾選手(合気道S.A.品川)と力強く安定した組手で定評のある田島尚樹選手(合気道S.A.昭島)との強豪対決が準決勝で行われた。両者の戦いは互いに極め切る事が出来ず僅差の判定により木村選手が決勝戦へと駒を進めた。

今回の無差別級決勝戦は木村選手とドッシリと安定した力強さを感じさせる寺島徹選手(合気道S.A.品川)との同門対決となった。両者共に手の内をよく知る者同士であり、時間内に極め切る事が出来ず僅差の判定で寺島選手の勝利となり初優勝を飾る事となった。

 

その後、総合部門決勝戦となったが、体力・体格に勝る寺島選手が有利に試合を進め、喜びの初の総合優勝を飾ったのである。品川の方々は様々な武道経験者が集って常日頃より実践的な合気道技を追求しており、その中での競争に勝ち抜き初の総合優勝を飾った寺島選手には益々の活躍を楽しみにし、また期待するものである。

桜井圭四郎選手(左) 寺島徹選手(右)

このように今大会においてはS.A.所属選手による総合優勝となったが、前回大会においては九州から参戦した空手を主とする永島選手が無差別級優勝を飾っており、他流派・他武道の選手の参戦は大歓迎である。実際に普段稽古している技が通用するのかどうか試す事の出来る数少ない場である。

勿論合気道技の実践という本来の目的の為のルールは存在するが、その中での自由攻防が可能であり、所謂合気を使う事が可能となる国内唯一?の大会であるので、少しでも興味をお持ちの方々は是非とも積極的に参戦・見学(共にHPにて要確認)されてみては如何だろうか??

 

また、合気道S.A.の長年の実戦経験より生まれた櫻井代表師範の技を実際に感じる事が出来るつき貫ける合気研究会も定期的に開催されているので、試合まではちょっとでも技を感じてみたい!とお考えの方々は積極的に参加されてみては如何だろうか!


試合結果

令和3年3月20日(日) 於 立川市近郊

  • 総合優勝    寺島 徹 (合気道S.A.品川)
  • 無差別級優勝  寺島 徹 (合気道S.A.品川)
  • 軽・中量級優勝 桜井 圭四郎 (合気道S.A.東大和)