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オ-プント-ナメント実戦合気道選手権大会
試合結果
【総評】
平成31年3月17日(日)、立川市近郊で合気道S.A.によるオープントーナメント実戦合気道選手権大会が行われた。
70キロ以下の軽中量級、それ以上となる重量級としてブロックを作り、その勝者同士が試合をして総合優勝者を決めるという形式でのトーナメント形式となった。

今回の大きな特徴として、以前は若くて体力がある選手が多かったのに対して、40代や50代といった世代が積極的に出場してくれていることがあげられる。
興味深いのはしっかりと長い時間をかけて稽古を積み上げて、合気道というバックボーンを自分の中である程度作っておいて、それを試合という場で検証しようという楽しみ方をしている選手が多かったことだ。
非常に頼もしく、またありがたいことである。

左から
山本鏡明選手・櫻井文夫代表師範・東山真教選手

今回のトーナメントでは各選手が現行のルールに慣れてきたのもあり、打撃や両腕を搦めて動きを止めて力比べという形になる場面が少なくなっていた。
しかしここで新たな問題が浮かび上がってきている事も事実として存在する。
互いの両手両足が届かない距離で合気道技をかける事は不可能である事実が存在する以上、合気道技を相手にかけるためには互いの両手両足が届く距離に入り込み、その瞬間に技をかけなければならない。

以前より、櫻井師範は技を互いが掛け合う型稽古というものは、どうしても戦いという時間の中においてほんの一部分の稽古にしかなっていない部分があるという側面について言及されている。
それ故に試合という形を導入することで、型稽古だけでは得られない瞬間的なものではない戦いの時間において有効な合気道技の研究・稽古が出来るのだ。
試合という形をとることで、型稽古だけでは得られない実際に効果がある有効な合気道技や、実際に戦える技術を学び、会得出来る可能性を模索することが目的と言ってもいい。

互いの手足が届かない距離というのは両者の危険は少ないが、技を掛けるためにはどうしても相手に近づく必要が出てくる。その距離は自分の攻撃が相手に届き、相手の攻撃も自分に届くという危険な距離である。
その危険な距離でもつれ合い、パワーとスピードで動きの中から相手の隙を見出してなんとかする、というのはあくまで競技的な発想であり、どうしてもパワーとスピードに勝るものが有利になりやすい。
もちろんそこにも価値はあるが、試合の目的として「人間が交差した瞬間に合気道技を掛ける為の方法論を模索する」という方向性とは少し異なってしまう。

さらに言えば、瞬間的な技をやろうと試みたとしても、正面からの攻防となるとどうしても体格や速度と力に頼る方が有利な状態となりやすい。
その為に側面から攻めるという形をとることを櫻井師範は推奨してきていたが、側面から攻めたとしても互いの手足の届く距離で攻防を始めれば数秒もかからず正面からの攻防と変わらないものとなってしまう。
技は一挙動かつ瞬間的になされていないと効果が薄いという事は何度も言われている事である。
それが出来ていないという事は、決め手(に欠ける=がない)という事に他ならない。

組み合わせて考えると、側面から瞬間的に決めるような動きを目指さなければ、合気道SAの求める技法とは遠いものとなってしまうということを櫻井師範は訴え続けているのではないか……。


山本鏡明選手(左) 東山真教選手(右)

田島尚樹選手(左) 山本鏡明選手(右)

優秀賞に輝いた東山選手は、相変わらず相手の動きを固定させておいて自分が先に動くことで先手をとる技法を使いながら、側面からの攻撃を駆使して攻め立てるベテランの選手。
ただどうしても自分に近い場所で技に入ろうとする動きが見られ、合気道技に入るには少し相手との距離が近すぎたため優勝までには届かなかったというのが惜しまれる。

トーナメントで優勝した山本選手は小柄ながら、パワーとスピードで相手の懐に入ったまま相手の脇をすり抜けて掛ける三カ条を武器として戦う時期もあったが、どうしても正面に立つ性質上最終的に相手とのパワー勝負に持ち込んでしまい、不利な状況となることもあった。
しかし今回のトーナメント決勝戦では、ほぼ一瞬も止まることなく側面や正面、左右への展開を駆使して、過去何度も戦い敗北している田島選手を振り回し続けることが出来た。

そして今回は、ワンマッチとしてトーナメントとは異なる試合も行われた。
出場した高林選手は数年前に手術を行い、復帰した後も体力の低下や患部の痛みなどに苦しめられたというが、試合に出られるほどに回復させて、5分間の試合をフルタイムで戦い切った。
様々な動きを試すように動いていた高林選手は、今大会においてもっとも試合を楽しんだ選手だろう。

体格や力や速度による「限界の追求」は競技側に任せておいて、武術側としては発想や戦略や閃きによる「可能性の模索」をしていかなければ技術の向上も勝利も得られないということは、忘れてはならない。
【合気道S.A.主催 オ-プント-ナメント実戦合気道選手権大会 結果】
平成31年3月17日(日) 於 立川市近郊

優勝山本 鏡明 (合気道S.A.八王子)
優秀賞東山 真教 (合気道S.A.品川)
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国際実践合気道連盟「合気道S.A.」