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「つき貫ける合気」研究会 レポート

令和2年2月24日(月)、合気道S.A.の櫻井師範の新しい講習会が開催された。
以前より行われていた講習会と異なる点がいくつも存在する新しい練習会でもあった。
今までの講習会では合気道的な力を出す為の「核となる部分を見つけ出すor作り出す」という、いわば自分の力の源を見つけるためのアプローチをそれぞれの力量に応じて行うというのが主だった。
今回の講習ではそこから一歩踏み込み、それは既に出来ているという前提でその核となる部分から出た力を相手の内部にしっかり通しきる方法論を探るというアプローチである。
それが「つき貫ける合気」と櫻井師範が命名した技術であり、それを各々の力量は置いておいて、まずは体験させてくれようとした体験会でもあった。
元々櫻井師範の講習や合宿では、必ず今回出席して沢山練習したからといっていきなり出来るということはありえないので「出来る出来ない」は置いておいて「自分の技の向上」を目的として各々が日々稽古するための指針となるものを手に入れて持ち帰ることを目的とする場所であるという発想がある。
何度も同じ技を繰り返して稽古し、技そのものの動きを脳ではなく身体にインプットするのは大事である。しかし、相手も動き、考える事が出来る人間である場合、対応してくるのは当たり前の事。反応速度や対抗する力、そもそも技が有効でなくなる場所への移動といった形で、努力して時間をかけた技が全く通じないという体験は、武道の稽古者が必ず突き当たる問題の一つだろう。
そして、それに対応すべく力の方向を変化させてみたり、微妙なタイミングずらしをしてみたり、果てはトリッキーは動作といったものを用いて技を掛けるというのをどうしてもやりがちである。これは合気道S.A.が試合を用いて「実際に合気道技で戦う」という「実践」の歴史を積み重ねたことで、明確に顕在化した問題であり、櫻井師範が何十年も前から気にしていたポイントだ。櫻井師範はよく「相手から逃げてはいけない」「相手の内側、内部に直接通す」という事を口にする。相手に対抗する力が存在しても、そこに存在する隙間を見つけ出しそこに自分の無理のない力を用いて相手の体軸、もしくは核となる部分を崩せなければ、力比べとなってしまうのだという。
今回は合気道技として有名な「小手返し」「側面入り身投げ」「四カ条」の3つの技を中心に、ほぼ全員が櫻井師範の技を体験することとなったが、受けてみると確かに「すり抜けられる合気」とでも口にしたくなるような感覚を味わう事ができた。中でも櫻井師範が養神館時代に得意としていた「四カ条」は、痛くするのはこっちのやり方、と掛けられてみて確かに鋭い痛みの走る技を掛けられた後、いまはこっちのやり方、と掛けられた技が衝撃的であった。
極端に言えば相手の手を持って軽く振り回すようにするだけで、人がつんのめってしまうのだ。動きが軽やかで、ともすると雑に動いているかのように見えるのに、体重も身長もバラバラの参加者が片端からつんのめさせられたり、耐えきれずに前転受け身をしていた者も存在した。とはいえ、他の二つの技を受けた者も何かを探ろうとする瞬間に転がされ、困惑の表情を浮かべていた。
握力が90キロを超える人間が繰り出す圧倒的な力の技、パワーリフティングなどで作られたスピードのある技、寝技などで作られた粘っこい力と技、などは「なるほど確かに」という実感が得られやすい。それは自分が出来なくても、どうやってその力が作られているかの手がかりはわかりやすいからだ。
櫻井師範の「つき貫ける合気」は言葉にすれば、「相手の力の中に存在する隙間に、無理のない力を通す技」ということとなる。理屈はなんとなく頭では理解出来るが、実際に自分がやってみようとすると実に難しい。しかも今回の講習は本来自分の動きにおいて最重要ポイントとなる「核」からの力の出し方を手に入れるという段階を一段飛ばしてのポイントである。現段階でこの技術の価値を真に理解しているのはもしかしたら櫻井師範だけなのかもしれないが、それを実際に言葉にし、技術の意味を体感させてくれるということは現時点での稽古者にとって実にありがたいことである。
今回教えて頂いた技術を用いることが出来るようになるためにも、まずは自身の動きの「核」を把握し、全ての動作の力をそこから発生させるように動ける身体を作りたいと強く思う講習会であった。
そしてこの講習会では、非常に珍しいことに櫻井師範が「つき貫ける合気」を体現するための稽古項目をまとめたテキストを用意してくれている。もちろん読むだけで簡単に出来る技術ではないが、これを全て技術的に考え、作り上げた櫻井師範はこんな技が出来るのか、という贅沢な答え合わせが出来る講習会ともいえる。
興味を持った方は、自流、他流問わず櫻井師範までメールしてほしい。

<合気道S.A. 広報部>
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国際実践合気道連盟「合気道S.A.」