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合気道S.A. 野良犬フェス3 大会参戦記
【野良犬フェス3 大会参戦記】
平成30年8月25日(土)、小林聡氏プロデュースの世界の立ち技格闘技の祭典「野良犬フェス3」のリングに合気道S.A.の選手が出場した。 今回も合気道S.A.の試合ルールを改変した「野良犬S.A.ルール」に基づき、試合を行うこととなった。

前回の反省を踏まえ、櫻井師範によるルール解説は試合前に5分程度行われたが、それでも選手や会場の理解は難しかったように思える。
これは「強さを競い合う格闘技」のルールとは根本的に異なる、合気道技をいかに演武ではない形で表現するか? というところからルール作りが始まっている事に由来する問題であろうと思われる。
乱暴な言い方をしてしまえば、合気道S.A.では試合によって選手の強さを競い合うのではなく、試合を通じてどれだけ合気道的な動きを表現、体現出来ていたかというところ「のみ」が評価基準になるというところに難しさがあるのだろう。
要するに合気道S.A.の試合では「合気道的な間合い」や「瞬間的な接触点への力の作用」といったものをどれだけ意識して、戦いを行っているかというところが重要となり、力任せに抱え込んだり、蹴ったり叩いたりしてダメージを蓄積させていってから何かを行うという事は何の価値にもならないのだ。



出場したのは体幹が強く安定感のある木村圭吾選手と、恵まれた体格を持ち、打撃も得意な斉藤康博選手の2名。最初の試合は木村選手とプロレスリング闘真の大村友也選手。大村選手は前進する力、打撃、組み付く速度、全てにおいて木村選手を凌駕しており、瞬間的に片手を取られてもすぐに反応する速度を持ち合わせていた。打撃も鋭く、一発で相手を飛ばしてしまう威力がある。しかし、格闘技の試合では強力な武器となるその能力が仇となり、注意を重ねてしまう。
「野良犬S.A.ルール」では片手を取られてから引き抜くのは禁止であり、返し技に行かなければなない。同じく打撃も、単発で行うものは禁止となり、相手を技で決める為の流れの中でしか使えないものとなっている。格闘技の試合であれば、強力な打撃で相手を吹き飛ばす事や、掴まれた瞬間に相手の手を切ることは、自分が不利にならずに仕切り直しを行えるという、いわば便利な動作の部類であると言えるだろう。「野良犬S.A.ルール」ではそれを禁止することで、合気道的な技の攻防を行いたいという発想なのだ。
木村選手も単発の打撃を放ってしまい注意を受けるなど、お互いがペースを作る事が出来ず試合は終了となった。より多くの注意を重ねてしまった大村選手を下して木村選手が勝利した。敗れたとはいえ「何もできねぇ!」と叫びながらも横山選手のようにルールを順守してくれた大村選手には感謝したい。

しかし大きな課題も残る。力強く素早く前に出てくる相手に対して捌くことができず、ただ避けつつ横に回り込む動きとなってしまうと、相手も簡単に反応して対応を変える為、とても合気道技をかけるタイミングは出てこないように思われた。また、相手が寄ってこない動きの時に近寄る方法論も、大変難しく思われた。大きな課題である。やはり合気道は「技をかけて相手を崩す」のではなく「捌きや誘いによって相手を崩しておいて技をかける」という順番を作る事が大事なのではないか……そう強く考えさせられる試合だった。



次の試合は斉藤選手と大相撲(元・霧の若)・将軍岡本選手。斉藤選手は身長が185cmを超え、空手などで培った身体能力とパワーの持ち主である。合気道S.A.の試合においても、ローキックや前蹴りなどを繰り出し、一発で対戦相手を吹き飛ばす威力を見せていた。(※その威力のせいで上記の大村選手のように注意を取られてしまう事も過去何度かあった)その斉藤選手が、岡本選手に手を掴まれると、満足に動くことが出来ずにいる。
斉藤選手は腕力も強く身体運用も器用な為、手をしっかりと掴まれたとしても切ることや引き抜く事が出来る選手であり、容易には相手の有利な形にさせないタイプの選手である。正面、側面と動きを変えながら腕を取りに行こうとするが逆に取られてしまい、動きを止められてしまう斉藤選手。1ラウンド終了時の尋常ではない汗が印象的であった。2ラウンド目に入ると、岡本選手は斉藤選手の手をしっかりとり、下段腕がらみや肘締めに似た形で有効を立て続けに取った。
「野良犬S.A.ルール」では相手の手をただ切る、ただ引き抜く事を禁止している。それを理解した上で斉藤選手に掴ませた手を岡本選手は力で掴み返して技に持っていく形を見せたのだ。もちろん、膠着があればすぐに分かれが行われるルールなので、岡本選手の動きには力強さだけではなく流れが存在した。最終的には顔面への攻撃や捨て身技、腰投げなどを使ってしまい、指導、注意を重ねた岡本選手が反則負けとなり、斉藤選手が勝利した。
試合前に櫻井師範の説明にあった、このルールは格闘技的な加点方式の採点ではなく、減点方式の採点となりますという言葉の通りの裁定が下されたことによる勝敗である。試合によって「選手の強さを競い合う」のではなく「どれだけ合気道的な動きを表現、体現出来ていたか」というところ「のみ」が評価基準になるというところが明確に出た試合と言えよう。



「野良犬S.A.ルール」という特殊な制限の中で試合に挑んでくれた大村友也選手と将軍岡本選手。普段やっている動きのほとんどが禁止されているにもかかわらず、スピード・パワー・技術と鍛え上げた肉体をもって、合気道技に対しての対応を見せてくれたことはありがたい事である。
課題や問題の発見をして、それを克服すべく努力をし、さらには実証をもって自己の現状を確認する事は大事である。
今回の結果を目にしたことで、合気道S.A.の稽古者たちも一層合気道の習得に熱が入る事を期待したい。

<合気道S.A. 広報部>
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国際実践合気道連盟「合気道S.A.」